第129巻『新時代の犯罪学 共生の時代における合理的刑事政策を求めて』
第129巻
『新時代の犯罪学
共生の時代における合理的刑事政策を求めて』
石塚 伸一 編著
日本評論社 2020年2月刊
ISBN978-4-535-52478-1
はじめに―本書のねらい
[第1編]犯罪学・刑事政策の危機
刑事政策の危機と復権
本庄 武
1 司法改革と刑事政策の危機
2 司法試験科目への復帰可能性
3 学問としての刑事政策の専門性
4 結びに代えて―刑事政策復権の契機とは
少年司法の危機と復権
武内 謙治
はじめに
1 少年司法の立法的展開
2 現在の直面する課題―少年法適用年齢問題
3 結びに代えて
刑事学の危機と復権
松原 英世
はじめに
1 方法
2 結果
おわりに
[第2編]世界の犯罪学
アメリカの犯罪学
ウエスト・コーストの犯罪学・刑事政策学教育
丸山 泰弘
はじめに
1 アメリカ犯罪学・刑事政策教育の流れ【概要編】
2 アメリカで犯罪学を学んでみて【実践編】
3 むすびにかかえて―これからの犯罪学の話をしよう
イギリスの犯罪学
カーディフからの報告
ディビッド・ブルースター
Introduction
The Emergence of Criminology in the UK
Criminological Ruptures: The Radical, the Real, and the Administrative The ‘Successful
Failure’ of Criminology in the UK since the Millennium Criminology in Focus: The Cardiff Experience
Conclusion: Criminological Lesson Learning for Japan
Bibliography
ノルウェーの犯罪学
オスロ大学法学部犯罪学・法社会学科
津島 昌寛
はじめに
1 IKRSの歴史と組織体制
2 オウバート、クリスティ、マチセンの功績
おわりに
バルカン地域の犯罪学
クロアチアを中心に
上田 光明
アンナ–マリア・ゲトッシュ・カラッツ
レアナ・ベジッチ
はじめに
1 バルカンの犯罪学
2 クロアチアの犯罪学
3 日本との交流
おわりに―日本の犯罪学に対する示唆
日本の犯罪学
一人の若手研究者としての体験と提言
相澤 育郎
はじめに
1 日本における犯罪学教育・研究の概況
2 若手研究者の立場から見た日本の犯罪学
3 結びに代えて―未来への提言
[第3編]犯罪学の新動向
犯罪学者のアイロニー
犯罪の減少をどう説明するか?
石塚 伸一
はじめに―第16回欧州犯罪学会(ミュンスター)に参加して
1 欧州における刑務所人口
2 日本の刑務所入口
3 警察官増員と犯罪減少
4 司法制度改革と犯罪減少―司法制度改革は、犯罪を減らしたのか?
5 結びに代えて―犯罪が減ると、刑務所人口は減る?
犯罪生物学の再興
エイドリアン・レインによる講演「暴力の解剖学」
浜井 浩一
1 犯罪生物学の誕生
2 アメリカ犯罪学会とエイドリアン・レイン
3 犯罪社会学におけるレインの講演
4 殺人犯の脳
5 扁桃体とサイコパス
6 脳の発達と虐待
7 脳科学と自由意思
8 オメガ3と犯罪
9 まとめ
ダルクに関する社会学的研究の意義
アジール概念を通じた検討の可能性
相良 翔
1 薬物使用者および薬物事犯者の動向
2 薬物事犯者への対応の現状
3 薬物使用者および薬物依存者に関する社会的研究
4 ダルクについて社会学的に検討することの意義
5 まとめ
地域社会と犯罪
竹中 祐二
はじめに
1 地域社会への着目とシカゴ学派
2 システミックモデルとその流れ
3 環境犯罪学アプローチとその流れ
おわりに―犯罪予防論の再構築に向けた試論的検討
「語り」と「場」の臨床研究
阿部 寛
1 ユニークなAPS研究会
2 マザーハウス当事者ミーティング
さいごに
元受刑者の回復の道のり
対立から対話へ
五十嵐 弘志
はじめに―反発し続けた人生
1 キリストとの出逢い―自分と向き合う
2 マザーテルサに導かれマザーハウス設立
3 仲間と居場所が生活の土台
4 総合支援プロジェクト
5 APS研究会と当事者ミーティング
6 更生保護・再犯防止行政の厚い壁
さいごに―徹底的に関わり愛し続けること
犯罪人像のパラダイム転換
先祖帰り(遅れているヒト)から、過適応者(急ぎすぎる人)へ
石塚 伸一
はじめに
1 人はなぜ暴力を振るうのか?―神経犯罪学の可能性
2 ロンブローゾの先祖返り説
3 犯罪人像の変遷―刑法思想と人間科学との接点
4 最近の犯罪事情の変化―「居住まい」の悪い現代日本の犯罪者
5 アディクション(嗜癖・嗜虐行動)というパラダイム
結びに代えて
刑事政策学の危機と創生・新時代の犯罪学
共生の時代の合理的刑事政策を求めて
石塚 伸一
はじめに
1 日本の犯罪社会学
2 刑事政策学の危機―法曹養成との訣別
3 新時代の犯罪学構想
4 SDGsと新しい犯罪学
5 龍谷犯罪学カリキュラム(案)―もしも、犯罪学学部を創るなら
6 結びに代えて―共生の時代と「人に優しい犯罪学」
終章
創生・新時代の犯罪学
“つまずき”からの“立ち直り”を支援する新たな犯罪学の創生に向けて
石塚 伸一
1 犯罪学コミュニティの危機
2 龍谷大学の潜在能力
3 共同研究活動
4 共同研究の総括
5 むすび
あとがき