Research Institute for Social Sciences

社会科学研究所

ホーム 研究 社会科学研究所 > 出版 > 第141巻『刑事司法記録の保存と閲覧 ―記録公開の歴史的・学術的・社会的意義―』

第141巻『刑事司法記録の保存と閲覧 ―記録公開の歴史的・学術的・社会的意義―』

第141巻
『刑事司法記録の保存と閲覧
―記録公開の歴史的・学術的・社会的意義―』

石塚 伸一 編著
日本評論社2023年2月刊
ISBN978-4-535-52724-9

はじめに(石塚 伸一)
現代への問題提起の書(村井 敏邦)
序章 未公開刑事記録との出会い―一人と事件をたどる旅
石塚 伸一
Ⅰ 刑事確定訴訟記録との出会い
Ⅱ 遺贈資料との出会い
Ⅲ 大逆事件記録との出会い
Ⅳ 本書の目的と構成-未公開刑事記録の保存と公開の意義
第1章 未公開刑事記録の保存と公開
[1] 明治初期日本の司法制度における近代と前近代-広義の司法資料からの考察・序論
畠山 亮
Ⅰ はじめに
Ⅱ 司法制度近代化過程の諸相
Ⅲ 明治初期の司法制度の実態と文書
Ⅳ 明治初期における近世法制史料の編纂
Ⅴ おわりに
[2] 公文書管理法と司法文書の利用
瀬畑 源
Ⅰ はじめに
Ⅱ 公文書管理法と司法文書
Ⅲ 司法文書の分類
Ⅳ 国立公文書館での司法文書閲覧の問題点
Ⅴ おわりに
[3] 大逆事件裁判「特別保存」(最高裁判所所蔵)記録の概要
山泉 進
Ⅰ はじめに
Ⅱ 幸徳秋水等大逆事件
Ⅲ 難破大助大逆事件
Ⅳ 朴烈・金子文子大逆事件
Ⅴ 李奉昌大逆事件
Ⅵ おわりに
[4] 認証アーキビスト制度の現在地と課題-制度化の経過と認証要件・手続きを中心に
太田 宗志
Ⅰ はじめに
Ⅱ 認証アーキビスト制度の発足経過と認証要件・手続き
Ⅲ 制度上の課題と限界、そして提言
Ⅳ むすびにかえて
第2章 刑事確定訴訟記録公開の意義
[1] 刑事確定訴訟記録研究と実践の意義-民主主義に不可欠
福島 至
Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑事確定訴訟記録の閲覧権
Ⅲ 刑事確定訴訟記録閲覧の現実
Ⅳ 刑事確定訴訟記録利用の実践
Ⅴ むすびにかえて
[2] 史料・資料としての裁判記録
塚原 英治
Ⅰ 公文書としての裁判記録
Ⅱ 史料・資料としての裁判記録
[3] 刑事確定訴訟記録閲覧と学術研究-社会学を研究する立場からの現状批判
大貫 挙学
Ⅰ 問題設定
Ⅱ 学術研究のための確定記録閲覧請求・申出
Ⅲ 不服申立て事例の検討
Ⅳ 刑事裁判を公共性に開くために
[4] 刑事確定訴訟記録法の現代的課題
西本 成文
Ⅰ はじめに
Ⅱ 司法資料とは何か
Ⅲ 刑事確定記録訴訟法
Ⅳ 刑事参考記録一覧の公表
Ⅴ 国立公文書館移管の意義
Ⅵ むすびに代えて
第3章 団籐文庫公開の意義
[1] 『死刑廃止論』第5版から第6版、そして第7版へ
古川原 明子
Ⅰ はじめに
Ⅱ 『死刑廃止論』第5版から第6版へ―改訂用第5版その1から
Ⅲ 『死刑廃止論』幻の第6版?-改訂用第5版その2から
Ⅳ 『死刑廃止論』第7版を想う―改訂用第6版への書き込み
Ⅴ おわりに

[2] 団籐重光の人格責任論の淵源-アドルフ・レンツの生物学的責任論の意義を課題
玄 守道
Ⅰ はじめに―本稿の課題
Ⅱ 「責任問題の生物学的深化」論文の概要
Ⅲ 団籐重光の人格責任論との比較
Ⅳ おわりに―レンツの生物学的人格論の問題点と今後の課題

[3] 1940年代後半の監獄法改正作業にみる戦前戦後の接続
-立法資料から読み解く「中間的処遇」と「代用監獄」
兒玉 圭司
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「中間的処遇」をめぐって
Ⅲ 「代用監獄」をめぐる議論
Ⅳ おわりに

[4] 團籐重光とアルフレッド・C・オプラー―團籐文庫所蔵資料から
出口 雄一
Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑事訴訟法の制定過程研究
Ⅲ 晩年のオプラーと團籐の交流
Ⅳ おわりに

[5] 團籐重光と外地法-蒙古聯合自治政府の刑事訴訟法改正草案をめぐって
岡崎 まゆみ
Ⅰ はじめに
Ⅱ 蒙古聯合自治政府における刑事訴訟法の修正経緯
Ⅲ 刑事訴訟法の修正内容
Ⅳ むすびにかえて

第4章
[1]「幸徳秋水等大逆事件」記録の歴史的意義
大岩川 嫩
Ⅰ 記録類の存在形態
Ⅱ 記録類の語る真実とその歴史的意義
Ⅲ おわりに

[2]大逆事件再審請求におけるKTH CUBE システムを用いた供述分析の可能性
山田 早紀
Ⅰ 序論
Ⅱ 分析1:「決死の士」はどのような文脈で語られたか
Ⅲ 分析2:大阪Gと神戸Gはどのように「謀議」に賛同したのか
Ⅳ 結論

[3] 世紀を跨ぎ越して生きてある「大逆事件」-研究と市民運動の「行き来」から
田中 伸尚
Ⅰ 傷跡
Ⅱ 再審請求をめぐる研究と記録
Ⅲ 市民運動と研究の「行き来」のダイナミズム―高屋の里と熊野で
Ⅳ 「どうしてもとり返しのつかないことを、どうしてもとり返すために!」

[4] 大逆事件の二つの裁判-大審院裁判と再審請求裁判
金子 武嗣・橋口 直太
Ⅰ 本稿の目的
Ⅱ 大審院の刑事裁判
Ⅲ 再審請求について
Ⅳ 再審請求への過度な期待
Ⅴ 結論

[5]「幸徳事件」と供述分析-供述の起源を洗い出す
浜田 寿美男
Ⅰ はじめに
Ⅱ 本件判決からその「供述の起源」を洗い出すということ
―本件判決の「物語」を構成する成層構造
Ⅲ 本件の東京グループをめぐる二つの物語
Ⅳ 宮下の「物語」の上に幸徳の「物語」が重ねられた第Ⅲ期:宮下が爆裂弾の実験を行う前後の四カ月
Ⅴ 宮下、菅野、新村、古河の犯行計画が漠然と進行していた第Ⅳ期:宮下が検挙されるまでの五カ月
Ⅵ おわりに―「幸徳」の物語は事件後に語りだされた

[6] 彷徨える大逆罪-幸徳秋水大逆事件第2次再審請求の可能性について
石塚 伸一
Ⅰ はじめに
Ⅱ 大逆罪とは何か
Ⅲ 大逆罪の適用例
Ⅳ 幸徳事件の論点
Ⅴ むすびにかえて―彷徨する刑法第73条

おわりに(畠中亮)