第１４３巻
『食と農のソーシャル・イノベーション
持続可能な地域社会構築をめざして』

大石　尚子　編
ISBN-13: 9784865784114
藤原書店　2024年1月刊

はじめに　［大石尚子］

1 求められるグローバルフードシステムの変革
2 日本とイタリアの類似性
3 持続可能な農業・農村のかたちを目指して
4 本書の構成

第Ⅰ部　ソーシャル・イノベーションとマクロ政策
第1章　ソーシャル・イノベーションの定義と日欧の食農政策展開　［大石尚子］
1 求められるソーシャル・イノベーション
2 ソーシャル・イノベーションとは
3 欧州連合における食農イノベーション推進政策
4 農村におけるソーシャル・イノベーション
5 グローバル化に対峙するマルチチュード

第2章　Territorialising the EU cohesion policy in inner peripheries. Italy’s National Strategy for Inner Areas
（国家政策としての農村開発――欧州戦略の展開とイタリア・インナーエリア政策）
　［Giancarlo Cotella, Elisabetta Vitale Brovarone］
1. Introduction
2. Italian regional policy：from the Cassa del Mezzogiorno to the ‘place-based’approach
3. The National Strategy for Inner Areas as a testing ground for the place-based approach
4. Implementing the SNAI in the Piedmont and Liguria regions
5. Potentials and limitations of the SNAI from a place—based perspective
6. Concluding remarks

第3章　ソーシャル・イノベーションとしての総合的地域食政策 （ローカル・フードポリシー）　［秋津元輝］
1. ソーシャル・イノベーションと政策との相互交通
2. 総合的地域食政策（LFP）　－食からの地域づくり―
3. イタリアの2つの事例
4. 日本での試み　―亀岡市の挑戦
5. LFPにおける新結合の現れ方

第4章　社会的協同組合による「農」を介した社会的包摂――「地の塩コンソーシアム」の取り組みについて　［白石克孝］
1. はじめに
2. 知の塩コンソーシアム
3. 「農」を介した社会的包摂
4. アルベルゴ・ディフーゾと福祉ケアとの連動
5. むすび

第5章　農業・農村を支える欧州共通農業政策　［石倉研］
1. はじめに
2. 欧州における農業・農村政策の展開
3. 近年のCAPをめぐる動向
4. イタリアのCAPと農家所得
5. おわりに

第Ⅱ部　　ローカルから見る農村地域のソーシャル・イノベーション
第1章　空き住宅を1ユーロで売る――過疎町村の奇抜な振興策　［矢作弘］
1.はじめに
2.「1ユーロ住宅を売ります」村訪問記
3.「1ユーロ住宅」の売られ方
4. だれが売っている/だれが買っている
5. まとめ

第2章　International migrations in extra-urban areas: exploring challenges and opportunities in Italy and Japan
（都市地域外における外国人移民――日伊における課題と可能性）　［Magda Bolzoni］
1. Introduction
2. Challenges, opportunities, implications：a literature review
3. Italy and Japan：international migrations and extra-urban areas
4. Situated observations and emerging issues
5. Some final considerations

第3章　イタリアの6次産業化――オリーブオイルとワインを事例として　［中村貴子］
1. はじめに
2. オリーブの6次産業化―オリーブオイル
3. ブドウの6次産業化―ワインづくり
4. まとめにかえて

第4章　イタリア南部における移民支援と農業労働　［坂梨健太］
1. はじめに
2. 調査地の概要
3. 支援の事例
4. 社会統合と労働搾取
5. 考察　―日本の技能実習制度との比較から

第5章　日本における農村イノベーションの取り組み
1　地域型社会的企業「え～ひだカンパニー株式会社」　［風岡宗人］
1. 農村イノベーションに求められるもの　―社会的受容性と社会的企業
2. 地域ビジョン実現をめざす地域型社会的企業
「え～ひだカンパニー株式会社」
3. 農村イノベーションを実現するネットワークによる地域ガバナンスの可能性
4. まとめ

2　起業型地域おこし協力隊による農村イノベーションの取り組み――愛媛県西条市を事例に　［江欣樺］
1. 背景と課題
2. 起業型地域おこし協力隊からローカルベンチャーの醸成へ
3. 起業型地域イノベーションを醸成するエコシステムの特徴
4. 地域おこし協力隊に基づいた起業型地域イノベーションの課題と挑戦
5. まとめ

第Ⅲ部　Insights Emerging from Social Innovation Experiences in Italian Rural Areas
イタリア農村におけるソーシャル・イノベーションの経験に学ぶ
第1章　Common issues of Italian and Japanese agriculture（日伊の農業における共通問題）　［Mariarosaria Lombardi, Naoko Oishi］
1. Italian agricultural sector
2. Agricultural characteristics and issues in Japan
3. Common agricultural issues between Japan and Italy

第2章　Lesson learned from the EU project: Social Innovation in Marginalized Rural Areas (2016-20)
（欧州研究プロジェクトから学ぶ――限界集落におけるソーシャル・イノベーション（SIMRA 2016-20））　［Maurizio Prosperi］
1. Introduction
2. The quest for a definition of SI tailored for marginalized rural areas
3. The evaluation framework
4. Some evidence from study cases
5. Final remarks

第3章　A study-case of an Italian Social Innovation: The Rural Hub VàZapp’
（イタリアのソーシャル・イノベーションの事例分析――ルーラル・ハブ ヴァザップ）　［Mariarosaria Lombardi, Antonio Stasi］
1. VàZapp’s model
2. Early action: the farmers’ dinners
3. Evolution and current impacts

結びにかえて――イタリア・ソーシャル・イノベーションモデルの日本での実装とその効果　　［大石尚子］
1. 農村コミュニティに求められるソーシャル・イノベーション
2. イタリア南部の農村におけるソーシャル・イノベーションイニシアティブ「ルーラル・ハブ VàZapp’」
3. VàZapp’のソーシャル・イノベーションモデルの日本での社会実験「ファーマーズ・ディナーin　
亀岡」
4. 持続可能な農村の実現に向けて