第121巻『社会共生学研究』
第121巻
『社会共生学研究』
重本直利 篠原三郎 中村共一 編著
晃洋書房 2018年3月刊
ISBN 978-4-7710-3029-9
はじめに
序章 社会経営、ディーセント・マネジメントから社会共生へ
1.資本主義をマネジメントする
2.社会主義と組織マネジメント
3.社会共生学の方法
―三つの論点―
おわりに
付論1 地域主義と地域主権
第Ⅰ部 社会共生学の思想と方法
第1章 資本と国民国家をいかに超えるか
ー「交換様式」論へのある疑問―
はじめに
1.「交換様式」論と世界管理
2.「交換様式」論の資本主義観
3.「資本主義の限界」と交換様式D
4. 理念管理としての交換様式D
おわりに
第2章 労働処分権の喪失と新自由主義
―民主的マネジメントと労働処分権の回復―
はじめに
1.公私二元論を基礎とする新自由主義
2.私人の構造
3.近代世界の「賃金奴隷」
4.新自由主義と労働者の労働処分権
5.民主的マネジメントと労働処分権の回復
第3章 社会に埋め込みうる実存主義
―ドラッガーの「責任ある選択」としての自由―
はじめに
1.指摘されたドラッカーにおける「実存主義」
2.『「経済人」の終わり』(一九三九年)におけるファシズムの告発
3.ドラッカー著『産業人の未来』(原著一九四二年、ドラッカー公刊第二作)
―社会についての一般理論―
4.ドラッカーと実存主義
5.ドラッカーが「自由社会」で捉えようとしたもの
―「社会に埋め込みうる実存」か―
6.ドラッカーにおける「実存」論の行方
7.現代のエートスとしての「実存」の可能性
―むすびにかえて―
第4章 ドラッカー経営学とガルブレイス経済学に共通する社会的共生概念
はじめに
1.ドラッカーとガルブレイスのスタンス
2.ドラッカーとガルブレイスの社会的共生概念
おわりに
第5章 独り占め競争か、共生的競争か
―競争をめぐる経済思想・理論を経糸として―
はじめに
1.スミスが示した競争の二つの側面
2.マルクス「経済学批判」体系プランと競争
3.個別資本理論・批判経営学と競争論
4.M・E・ポーター競争戦略批判
5.競争と共生
おわりに
第6章 「資本主義をマネジメント(制御)する」方法と社会共生学
―カール・ポランニー「経済を社会に埋め込む」と「複合社会」像の検討から
はじめに
1.「経済を社会に埋め込む」とは
2.市場経済化と「二重の運動」
3.ファシズムと社会主義
4.「経済を社会に埋め込む」方法論
おわりに
補論1 ソーシャル・マーケティングと社会共生
―コトラーの「ソーシャル・マーケティング」と社会問題解決
1.コトラーの「ソーシャル・マーケティング」における共生社会思考
2.「ソーシャル・マーケティング」によるイノベーションの可能性
3.「より良き社会を築く」マーケティング実践から社会変革へ
第Ⅱ部 グローバル化と社会共生学
第7章 金融のグローバル化とコーポレート・ガバナンス改革
はじめに
1.米国政府の対日要求とアベノミクスの下でのコーポレート・ガバナンス改革
2.金融ビッグバンによる銀行の変容
―「『護送船団方式』からの脱却」と銀行の産業融資機能後退―
3.年金基金の変容と国内資産運用(投資ファンド)会社の台頭
4.金融ビッグバンと資金のグローバル運用
5.日本企業の所有構造の大転換
―支配からの資産運用へ―
6.アベノミクス下での株価上昇戦略とコーポレート・ガバナンス改革
第8章 現代の多国籍企業と各国経済
―株価重視の経営と社会―
1.グローバリゼーションの進展と多国籍企業
2.世界のなかでの多国籍企業
3.世界の売上高上位五○社の特徴
4.現代の多国籍企業と社会の課題
第9章 激変する企業経営下での、企業の余剰資金拡大、労働者、対外M&A
―「資本主義をマネジメントする」に向けて―
1.企業の余剰資金の拡大とその源泉
2.投資有価証券投資、対外直接投資、M&Aの拡大
おわりに
第10章 国際経営論の新展開と社会共生学
―グローバル市場を志向する国際中小企業の研究を中心に―
はじめに
1.多国籍企業と社会
2.経営環境の変化とグローバル・ガバナンス論
3.国際中小企業研究と埋め込みモデル
4.国際中小企業の事例と地域循環
おわりに
第Ⅲ部 社会共生学の日本的課題
第11章 トヨタ生産方式における「立ちん棒」から考える社会共生
―人間尊重の働き方へのマネジメント
はじめに
1.トヨタ生産方式と「立ちん棒」
2.A氏の実践した人間尊重の「立ちん棒」
3.効率性の象徴としての「立ちん棒」と人間尊重の「立ちん棒」への批判
4.トヨタ生産方式そのものの変革への可能性
おわりに
―人間尊重の働き方へのマネジメント―
第12章 企業不正の発生メカニズムと不正防止策の効果
―事例調査をふまえて―
はじめに
1.K株式会社
2.株式会社T
おわりに
第13章 日本の介護保障システムの現状と課題
―経済の論理から安心の論理へ―
はじめに
1.「日本の介護保障システムの課題」にかかる先行研究
2.日本の介護保障システムの位置づけ
3.介護保障システムの国際比較
4.日本の介護保障システム
5.介護事業者の経営実態
6.日本の介護保障システムの課題と改善の方向
おわりに
付論2
日本版CCRC(継続的なケア付き高齢者コミュニティ)を考える
第14章 日本における「大学界」改革の実践
―新自由主義・新保守主義に対峙する大学人の課題
1.「大学界」改革という視覚から見る日本の大学
2.新自由主義・新保守主義のもとでの大学「破壊」
3.自治機能の低下がもたらす大学「崩壊」と大学人の受容
4.「開かれた大学の自治」への転換
5.分断の克服と同僚性の発揮
補論2 ソーシャル・アントレプレナーの開業動機
―共生社会の実現に向けた組織形成の経営行動―
はじめに
1.ソーシャル・ビジネスとソーシャル・イノベーション
2.先行研究
3.日本における開業の現状
4.開業動機
5.「社会の役に立つ」を開業動機とする傾向
6.ここまでの考察から考えられること
おわりに
第Ⅳ部 共生社会への展望と手がかり
第15章 閉ざされた共生社会
―移民とアイヌの北海道―
はじめに
1.アイヌ・モシリの共生社会
2.アイヌ・モシリから蝦夷地へ
―松前藩とアイヌ―
3.「内地」からの北海道移民
4.本土主義批判
おわりに
第16章 障害者雇用と経営学批判
―共生社会へのアプローチ―
はじめに
1.障害者雇用研究の現状と課題
2.労働の経済と社会の擬制
3.新しい問題としての協働(支援とケア)
4.障害者雇用の社会的構図
5.社会と「全制的施設」
6.精神障害者の誕生と社会形成
7.「狂気」と「脱制度化」
8.共生社会の新しいアプローチ
おわりに
付論3 大学における障害者支援の目指す方向
第17章 市民社会と自発性・共同性、そして相互自助
―協同組合論の検討―
はじめに
1.協同組合にみられる自治・自立と相互扶助
2.協同の持つ力あるいは可能性
3.協同組合および社会共生の担い手・主体について考える
4.協同組合および社会共生のための課題
おわりに
第18章 ディーセント・マネジメントの実現に向けて
―企業経営学から市民経営学、そして社会共生学へ―
1.「社会経営学」という考え方(学問体系)の提唱
2.「社会経営学」の視点
―関係性のマネジメント―
3.「社会経営学」の実践としての「ディーセント・マネジメント」
4.ディーセント・マネジメントの実現に向けて
5.「市民経営学」とディーセント・ライフ
おわりに
終章 自然との共生、多文化共生の課題
1.自然との共生と巨額マネーの循環
2.共生社会への展望
3.日本における共生社会への展望
跋文にかえて
―『世界共和国へ』の物語、Tさんへ―