第61巻『刑事司法と心理学:法と心理学の新たな地平線を求めて』
第61巻
『刑事司法と心理学 :
法と心理学の新たな地平線を求めて』
村井敏邦 [編] 日本評論社
ISBN 4-535-51468-2
はしがき
第1部 刑事司法における心理学の活用-総論
第1章 刑事司法における心理学の活用可能性について (村井敏邦)
1 法律学と心理学の共同研究に向けて
1-1 法と心理学会設立の経緯
2 共同研究「刑事司法における心理学の活用について」の内容
2-1 共同研究の進行状況
2-2 主な研究報告
3 法と心理学の共同研究の意義と課題
3-1 法と心理学の共同研究の意義
3-2 法と心理学の共同研究の課題
第2章 刑事鑑定と心理学 (浅田和茂)
はじめに
1 東京高判平10・7・16(判時1679号167頁)
2 ドイツ連邦裁判所の新判例
3 原鑑定およびシャーデ意見書
4 フィードラー鑑定書・シュテラー鑑定書
おわりに
第3章 事実認定は心理学的過程である
仙台北陵クリニック事件地裁判決を例に (浜田寿美男)
0 はじめに
1 仙台北陵クリニック筋弛緩剤事件とは
2 自白を聴取した捜査官の法廷証言
3 被告人の法廷供述には信用性がないとした判断の基準
3-1 自白者の心理と矛盾する言動
3-2 被告人の法廷供述の不自然、不合理
3-3 被告人が自白に落ちた理由
3-4 被告人の自白の信用性について
3-5 「事実の認定は証拠によるが、その証拠は事実の認定による」という循環を断つために
第2部 刑事司法にかかわる人たちの意識と行動
第1章 誤起訴・誤判の原因に関する意識調査
弁護士と学生、および個別事例にもとづく判断と一般的判断の比較
(仲真紀子・村井敏邦・一瀬敬一郎)
1 はじめに
2 方法
2-1 1次調査票の作成
2-2 1次調査
2-3 2次調査票の作成
2-4 2次調査
3 結果と考察
3-1 分析Ⅰ:全体の反応
3-2 分析Ⅱ:因子分析
3-3 分析Ⅲ:個別の分析
4 まとめ
第2章 無罪事例に見る冤罪原因分析
1 状況証拠による事実認定と事実観 (豊崎七絵)
はじめに
1-1 問題意識と分析視角
1-2 総合評価に委ねられた事実認定の手法
1-3 「論理」としての二項対立的事実観-裁判官経験者の言説を手掛かりとして
1-4 事実観の転換
結びに代えて
2 自白調書の信用性評価に関する試論 (中川孝博)
2-1 はじめに
2-2 事実認定の適正化と注意則研究
2-3 注意則研究に対する訴訟関与者の不満
2-4 従来の注意則研究に内在する3つの問題
2-5 注意則研究の目指すべき方向
2-6 自白の信用性に関する近年の無罪事例
2-7 むすびにかえて
資料1 司法研修所編『自白の信用性』に示されている注意則一覧
資料2 事例マトリックス
3 刑事裁判における再現実験の在り方 (徳永光)
3-1 はじめに
3-2 実験結果に関する裁判例
3-3 検討
3-4 おわりに
第3章 裁判員の心理 (山崎優子)
1 はじめに
2 陪審員の判断過程についてのモデル
2-1 ストーリーモデル
2-2 ストーリーモデルの根拠
2-3 確信更新モデル
2-4 裁判員の判断過程は、どのモデルにもとづくか?
3 不採用証拠が陪審員の判断に与える影響
3-1 証拠以外の情報が陪審員の判断に及ぼす影響についての主要な研究領域
3-2 不採用証拠の種類
3-3 裁判員の教示の効果
3-4 Kassin and Sukel(1997)の研究
4 模擬裁判員の判断傾向
4-1 実験の概要
4-2 結果の概要
4-3 今後の課題
5 評議の効果
5-1 評議がストーリー構築に及ぼす影響
5-2 評議後、不採用証拠の存在が判断に及ぼす影響は弱まるか?
5-3 評議後、公判内容についての記憶は正確になるか
6 おわりに
第4章 公務執行妨害事例における警察官と市民との接触 村井敏邦
1 本研究の目的
1-1 本研究の位置づけ
1-2 本研究の意義
1-3 本研究の目的
2 方法と対象事例
2-1 方法
2-2 対象事例
3 公務員に対する暴行事例のパターン分け
3-1 トッホの分類
3-2 東京の対象事例におけるパターン(N=86)
4 考察
4-1 警察官と市民との感覚の違い
4-2 公務執行妨害事例における行為者プロファイル
4-3 暴行を触発した警察官の言動
5 今後の研究のために