第78巻『ヨーロッパ私法の展開と課題=Developments and problems of European private law』
第78巻
『ヨーロッパ私法の展開と課題
=Developments and problems of European private law』
川角 由和、中田 邦博、潮見 佳男、松岡 久和 編著
日本評論社
ISBN 978-4-535-51623-6
目 次
はじめに
第1部 ヨーロッパ私法の形成と国際統一売買法の展開
1 ヨーロッパ私法の形成と方法論
ヨーロッパ私法の漸進的生成 : ユルゲン・バーゼドー
訳・中田 邦博
1 私法について
2 私法の何が各国に固有のものとなるのか
3 国際条約
4 ヨーロッパ共同体における私法に関する立法の根拠
5 私法の領域でのヨーロッパ共同体の成果
6 指令の国内法化
7 ヨーロッパ司法裁判所の貢献
8 一般原則
9 ヨーロッパ民法典が実現する展望はあるのか
「ヨーロッパ私法の漸進的生成」をめぐっての質疑応答―ユルゲン・バーゼドー教授による
講演を受けて : 中田 邦博・益澤 彩
はじめに
質疑応答編
1 コメントと質問
2 講演会参加者との討論
3 講演会と質疑応答を終えるにあたって
マックス・プランク研究所の役割―実務、法政策、私法学の間で : ユルゲン・バーゼドー
訳・中田 邦博
序
1 実務上の問題への対応としての研究所の設立
2 研究所の設立とドイツ法学の孤立
3 境界を越えての一瞥――何のために?
4 ドイツ的法思考の輸出
5 法政策と判例の着想の輸入
6 ドイツ私法学の着想の輸入
7 国家を越える法思考――機能性と効率性
「ヨーロッパ不法行為法グループ」による「ヨーロッパ不法行為法原則」 : ヘルムート・コツィオル
訳・若林 三奈
訳者序文
1 はじめに
2 全体構想の概観
3 損害
4 因果関係
5 過失責任
6 危険責任(厳格責任)
7 他人に代わる責任
8 抗弁
9 責任への寄与
10 複数の不法行為者
11 金銭賠償
12 減責条項
13 おわりに
訳資料 「ヨーロッパ不法行為法グループ」による「ヨーロッパ不法行為法原則」(2005年版)
我々はヨーロッパ民法典へと向かうべきか : イウ゛・ルケット
訳・馬場 圭太
序
1 経済
2 文化
3 政治
4 結論
2 国際統一売買法の展開
統一法条約と国際商事契約に関するユニドロワ原則 : ユルゲン・バーゼドー
訳・西谷 祐子
1 私法統一運動の危機
2 ユニドロワ原則の手法と目的
3 ユニドロワ原則の法的性質
4 国際法に基づく統一私法条約の解釈
5 統一法条約における欠缺補充
6 ウィーン統一売買法条約第7条第2項における一般原則
7 法の一般原則としてのユニドロワ原則
8 総括
国際売買をめぐる諸問題
―国際取引におけるCISG適用のメリットとCISG適用事案における相殺の問題
: インゴ・ゼンガー
訳・中田 邦博・野田 和裕
序
第1 国際取引におけるCISG適用のメリット
1 意義
2 適用範囲
3 契約締結
4 契約上の義務
5 瑕庇担保責任
6 CISGの主な有益性
第2 CISG適用事案における相殺の問題
1 CISGの規律内容としての相殺?
2 国際私法規定によって指定される国内法の適用
3 国際民事訴訟法の問題
4 実務に対する帰結
コメント : 松岡 久和
コメント : 西谷 祐子
分割履行契約の不履行と一部解除―国連国際動産売買条約、ヨーロッパ契約法原則、
ユニドロワ国際商事契約原則およびドイツ法の分析を中心に : 野田 和裕
1 はじめに
2 国連国際動産売買条約における分割履行契約の規律
3 ヨーロッパ契約法原則およびユニドロワ国際商事契約原則における分割履行契約の規律
4 ドイツ法における分割履行契約の規律
5 日本法への示唆
第2部 ヨーロッパ契約法と各国法
1「ヨーロッパ契約法原則」の比較法的意義
「ヨーロッパ契約法原則」の比較法的意義の検討 : 潮見 佳男
序論
ヨーロッパ法統一の中でのヨーロッパ契約法原則の意義と問題点 : 西谷 祐子
1「ヨーロッパ契約法原則」(PECL)について
2 欧州共同体における契約法の体系化への動き
3 欧州共同体における契約法統一の課題と展望
4 結び
ヨーロッパ契約法原則とドイツ法 : 中田 邦博
はじめに
1 ヨーロッパ統一民法典への道――ドイツでの議論状況
2 ヨーロッパ契約法原則へのドイツ法からの発信・貢献
3 ヨーロッパ契約法原則からドイツ法が摂取したもの
4 ドイツ新債務法のヨーロッパ契約法原則への貢献・発信
まとめにかえて
ヨーロッパ契約法原則とフランス法 : 馬場 圭太
1 はじめに
2 フランスから見たヨーロッパ契約法原則
3 ヨーロッパ契約法原則とフランス実定法との距離
4 結び
ヨーロッパ契約法とわが国における民法の現代化 : 潮見 佳男
1 緒論
2 契約法の現代化と統一の契機となった理論面での要因
3 契約法の統一にあたり採用された手法
4 統一契約法の基本原理――「合意による契約規範の創造」と信義誠実・公正取引の原理
5 わが国での契約法・契約法理の統一との関連づけ
6 結び
PECL・日本民法対照表 : 潮見 佳男
2 PECLの翻訳作業における問題点
索引作成作業からみたヨーロッパ契約法原則 : 松岡 久和
1 はじめに
2 同書の意義からみた原著の索引の問題点
3 日本語版独自の総合索引作成作業
4 おわりに
第3部 各国法の現状と対応
債務法改正、差別禁止(平等化)法と私的自治―ドイツにおける民法の変還
: エドゥアルト・ピッカー
訳・中田 邦博
1 私的自治の理論上の承認と、その実務上の重大な危機
2 新債務法と付属法における私的自治の排除の典型例
3 新差別禁止法による私的自治の危機
4 結語
EU指令とフランス民法典―消費動産売買指令の国内法化をめぐる動向 : 馬場 圭太
1 はじめに
2 転換法成立までの経緯
3 WG草案および転換法の概要
4 WG草案をめぐる論争――拡張転換か限定転換か
5 転換法成立後の議論
6 フランス法が抱える矛盾――まとめに代えて
資料1 売主が負う、契約適合性保証責任に関する法律草案
資料2 売主が消費者に対して負う、財物の契約適合性保証責任に関する2005年2月17日
オルドナンス
参 考 フランス民法典関連条文(転換法施行前)
フランス債権法改正準備草案における錯誤及び詐欺の検討
―日本民法改正への示唆をもとめて : 山岡 真治
1 問題の所在
2 フランス債権法改正準備草案
3 フランス法の総括と日本法の今後の方向性
ドイツにおける新契約解除法の位置づけ―不当利得法との関係を重視しつつ : 川角 由和
1 はじめに――課題の設定
2 ドイツにおける新しい契約解除規定
3 新しい契約解除の効果論と不当利得法との関係
4 むすび
契約の危殆化とドイツ新債務法における「不安の抗弁権」規定 : 松井 和彦
1 序説
2 旧321条の問題点
3 新しい「不安の抗弁権」規定
4 結びに代えて
複合的契約結合法の新展開 : マティーアス・ローエ
訳・田中 宏治
1 はじめに
2 複合的契約結合の具体的法律問題
3 ネット契約モデル
4 ネット契約モデルから導かれる直接的な帰結
5 おわりに――法政策的帰結および秩序政策的帰結
電子商取引における消費者保護 : ハインリッヒ・デルナー
訳・中田 邦博
1 序
2 隔地者間での契約締結としての電子的契約締結
3 通信取引契約法における消費者保護
4 電子商取引における契約締結
5 まとめ
オーストリアにおける消費者保護法―いくつかの重要な事項を取り上げて
: シュテファン・ウ゛ルブカ
訳・中田 邦博
1 序論
2 訪問取引
3 通信取引
4 許容されない契約の構成部分
5 瑕疵担保法の新規定
6 不動産取引における解除権
7 おわりに
人間の身体に由来する物質の利用に関する民事上の諸問題 : ヨッヘン・タウピッツ
訳・高嶌 英弘
1 序説
2 人体由来物質の利用に関する議論のきっかけとしてのジョン・ムーア事件
3 ドイツにおける法状況
4 総括
IT法における責任 : ジェラルト・シュピンドラー
訳・若林 三奈
1 はじめに
2 製造物責任とIT責任
3 ネットワークにおける責任
4 展望
法解釈学と法史学 : エドゥアルト・ピッカー
訳・川角 由和
1 法解釈学と法史学との歴史的な分離
2 認識方法として問題となる分離思想と統一思想との間の現代的な方法論上の争い
3 法解釈学と法史学とを結合させる法律学こそ一貫して実践的な重要性をもつ
4 結語
初出一覧