第80巻『若者の雇用・社会保障―主体形成と制度・政策の課題―』
第80巻
『若者の雇用・社会保障
―主体形成と制度・政策の課題―』
脇田 滋・井上 英夫・木下 秀雄 編者
日本評論社
ISBN 978-4-535-51615-1
はじめに : 脇田 滋 ・ 井上 英夫 ・ 木下 秀雄
第1部 現状の把握と分析
第1章 若年貧困と対抗運動 :湯浅 誠
1 親に頼れない若者たち
2 「親に頼れるはず」という神話
1)しかし、彼/彼女たちの事情は、一般にはなかなか理解されない
2)それは、若者だけに限らない
3 塹壕の中の生
4 企業福祉からの排除と家族福祉からの排除
5 丸裸の若者たち
6 三層のセーフティネット
7 五重の排除
8 がんばる条件
9 修繕屋
10 エム・クルーユニオン
11 企業組合法人あうん
12 反貧困たすけあいネットワーク
13 もやい
14 生活保護問題対策全国会議・各地の生活保護支援ネットワーク
15 反貧困ネットワーク
16 おわりに
第2部 若者の雇用・社会保障をめぐる背景
第1章 若者をめぐる社会保障政策の現状と課題――格差社会の何が問題か : 井上 英夫
はじめに
1 格差社会と貧困・不平等
1)格差社会論の二面性
2)人権保障の視点から
2 貧困・不平等社会の実態
1)グループホーム「殺人」事件
2)学生障害無年金事件
3)「餓死」事件
3 「格差」=貧困・不平等社会の要因
1)格差=貧困・不平等の創出
2)セーフティネットの欠落、不十分さ
4 若者と社会保障
1)なぜ若者は、社会保障の主体でなかったか
2)生活保護と若者
3)戦前=恤救規則、救護法の時代か
5 人権としての社会保障とセーフティネットの構築
1)セーフティネットとは人権保障である
2)人権保障とナショナル・ミニマム
3)セーフティネット=社会的総合生活保障の構築
4)家族と個人
5)労働の意味を考え、金のかからない社会へ
6)人間の尊厳=自己決定に基づく権利行使と行政・政治参加
おわりに
第2章 若者をめぐる雇用・労働政策の変遷と課題
――「若者」と教育、職業訓練・雇用保障を中心に : 脇田 滋
1 1990年代後半からの若者の雇用をめぐる新たな状況
1)日本的雇用慣行形成・安定化と若者(1950年代半ばから1970年代まで)
2)長期雇用と福祉見直しと若者(1980年代)
3)日本的雇用と社会保障の抜本的見直しと若者(1990年代以降)
2 若者の「自立」を阻む状況の広がり
1)若年労働者の非正規雇用化
2)若者の「自立」を阻む教育費の高騰
3 若者が「自立」を求める権利と課題
1)政府関連の『若者』関連対策と評価
2)職業指導・職業訓練を受ける権利
3)高等教育の無料化と「若者の自立」
第3章 若者をめぐる議論の現状と課題 : 木下 秀雄
1 はじめに
2 若者の現状
3 若者を論じる視点
1)若者の意味―課題としての若者の発見
2)若者と家族―「親からの自立」
4 おわりに――可能性としての若者への期待
第3部 若者をめぐる法・政策と課題
第1章 若者の就業支援策の批判的検討 : 萬井 隆令
――トライアル雇用と紹介予定派遣の法構造について
1 若者の就業状況と就業支援政策
2 トライアル雇用
1)厚生労働省のトライアル雇用奨励策
2)労働契約法と「試行雇用」についての疑問
3)試用期間とトライアル雇用の併用の可否について
3 紹介予定派遣
1)紹介予定派遣の意義と生成の経緯
2)紹介予定派遣と法的規制
3)紹介予定派遣の実情と効果
4 まとめ
1)正規社員としての採用促進という目的と実態的な不整合について
2)法的な、トライアル雇用、紹介予定派遣、試用期間の相互関連について
3)若者の雇用問題の捉え方について
第2章 被用者保険(医療、年金)の適用の拡大 : 上田 真理
はじめに
1 社会保険における若者の現状
1)非正規労働者・失業者の増加
2)被用者保険法における被保険者からの除外
2 家族・世帯主からの独立
1)「被扶養者」としての「子」(健保3条7項)
2)住民保険の世帯主からの独立
3 被用者保険法の適用基準と被保険者概念の拡大
1)被用者保険と住民保険
2)被保険者の基準
3)「被用者」保険適用の拡大
おわりに
第3章 若者をめぐる家族・福祉政策 : 金川 めぐみ
1 はじめに
2 統計からみる『若者』と家族の現状
3 社会保障制にみる『若者』と家族の把握
1)社会保障法制にみる『若者』と家族
2)児童福祉・子育て支援
3)少子化対策
4)その他の制度
4 若者視点を重視した社会福祉制度の構築
5 おわりに
第4章 若者と生活保護 : 木下 秀雄
1 はじめに
2 生活保護をめぐる論点
1)稼働能力活用に関して
2)扶養と世帯単位原則
3)住宅扶助について
3 おわりに
第4部 若者をめぐる外国の取り組み
第1章 ドイツにおける若者支援の制度化と半公的化
――職業(教育)訓練・就労支援・生活保護の交錯と展開 : 嶋田 佳広
はじめに
1 若者に対する社会保障
1)青少年扶助(Jugendhilfe)
2)経済的支援
2 若者への就労支援
1)社会法典第2編と就労支援
2)社会法典第3編と就労支援
3 若者と職業教育・職業訓練
1)学校教育から職業教育へ
2)連邦教育訓練助成法
結びに代えて
第2章 韓国の若者の雇用と社会保障をめぐる状況 : 金 榮泌・柳 貞順
1 はじめに
2 若者を取り巻く雇用や社会保障の現状
1)大学教育の現状
2)青年失業問題
3)無年金問題
3 廬武鉉政権下の社会政策の変化
1)廬武鉉政権の課題
2)廬武鉉政権の社会政策に対する批判的考察
3)貧困からの脱出のために
4 むすびに――李明博政権の課題
第3章 国際連合における青年政策
――青年政策の全体像と青年雇用制度政策の動向 : 棟居 徳子
はじめに
1 国際連合システムにおける青年政策の概要
2 青年の平和、相互尊重及び理解の理念の推進に関する宣言(1965年)
3 国際青年年(1985年)
4 青年に関する世界行動計画(1995年)
5 リスボン宣言(1998年)とダカール戦略(2001年)
1)青年政策と計画に関するリスボン宣言
2)ダカール青年エンパワメント戦略
6 ワールド・ユース・レポート
第5部 若者と主体形成――新たな主体形成の方向と課題 : 井上 英夫・木下 秀雄・脇田 滋
1 若者の現状と運動
2 若者支援と権利闘争・裁判運動
3 若者運動の課題と展望
資料 聞き取り調査報告 : 濱畑 芳和
1 聞き取り調査実施について
2 若年者の雇用と社会保障に関する実態調査について(報告)
1)調査の目的
2)調査対象者
3)調査方法
4)調査票および調査項目
5)本調査より得られた知見