第89巻『社会経営学研究』―経済競争的経営から社会共生的経営へ―
第89巻
『社会経営学研究』
―経済競争的経営から
社会共生的経営へ―
重本 直利 編著
晃洋書房 2011年3月刊
ISBN 978-4-7710-2224-9
はじめに
序章 社会共生的経営手法と社会経営学 : 重本直利
1.「企業中心社会」からの脱却
2.社会共生的経営の試み
3.共生社会の経営学
4.社会共生的経営手法の確立
第Ⅰ部 資本と社会
第1章 市場経済のウチとソト : 篠原三郎
-差別問題の方法論-
はじめに
1.市場経済の論理と平等性と差別性
2.市場経済の性差別
3.市場経済と「相対的過剰人口」と家族形成
4.現代資本主義と女性労働者の増加
おわりに
第2章 株式会社と社会の関係性 : 馬頭忠治
-現代経営学批判をめぐって-
はじめに
1.経営学と関係性認識
2.個人と集団と社会の関係とその資本主義的形態
3.法人としての株式会社、その転倒形態
おわりに
第3章 「監視」問題と社会的理性による訴求 : 竹内貞雄
-自律性管理と監視社会-
1.「監視」の社会的析出
2.企業管理と監視
3.自律分散管理と監視
4.社会的理性としての管理
第4章 消費者運動と社会経営 : 山西万三
はじめに
1.消費者の権利と消費者運動
2.社会経営資源としての消費者運動
3.消費者の権利と社会経営としての消費者運動
おわりに
第5章 企業の経済的責任 : 重本直利
1.「企業の社会的責任(CSR)」論への問い
2.社会の一部としての企業
3.共生社会の経営学方法論
4.社会に対する企業の経済的責任(CER)
第6章 企業の過去責任 : 重本直利
1.企業の社会的責任(CSR)と過去責任
2.企業の「過去」への対応
3.社会の一部としての企業の責任
4.組織体の独自的・自律的責任
5.継続事業体と企業の経済的責任
6.CERと企業の過去責任
第Ⅱ部 地域と公共性
第7章 社会経営学からの地域産業へのアプローチ : 細川孝
はじめに――グローバリゼーションのもとでの地域産業
1.地域産業へのアプローチ――地域づくりと地域内再投資力
2.北海道オホーツクの地域産業と大学
3.京都における都市(近郊)農業の社会合理性
おわりに
第8章 地域小規模企業の「社会経営」行動 : 杉村樹可
はじめに
1.小規模企業と経営学
2.先行研究
3.社会的企業としての小規模企業
4.事例研究
5.調査結果
6.考察
おわりに
第9章 NPO・社会的企業の経営学 : 藤原隆信
-現代的課題解決の「仕組み」づくりの経営学-
はじめに――現代日本社会と「社会経営学」
1.NPO(非営利組織)とは何か
2.社会的企業とは何か
3.NPOと社会的企業の経営学――「利益」と「ミッション」から考える
4.NPO・社会的企業と「市民経営学」
第10章 行政経営と社会経営 : 三宅正伸
はじめに
1.市民的行政経営とは
2.市民的行政経営は社会経営か
おわりに
第11章 社会合理性からの公共経営論 : 重本直利
1.「共助」と公共経営
2.「公共経営」とは何か
3.「企業中心社会」からの脱却
4.もやい直しの経営学
5.「下からの取り組み」としての公共経営
第Ⅲ部 個別経営学説の社会性
第12章 テイラー学説の悲劇 : 中道眞
-F・W・テイラーの理想と社会の史的現実-
はじめに――テイラー学説研究の意義
1.社会経営学とテイラー学説の経営概念
2.テイラーの理想と歴史的現実の乖離-悲劇
3.テイラー学説の解釈方法と本章の構成
4.三つのテキストによるテイラー学説の検討
5.テイラー学説の検討(1)――”A Piece-Rate System”[1895]を通して
6.テイラー学説の検討(2)――”Shop Management”[1903]を通して
7.テイラー学説の検討(3)――”The Principles of Scientific Management”[1911]を通して
8.テイラー学説におけるコンテキスト
おわりに
第13章 フォレットの創造的統合理論と社会経営学への示唆 : 山西万三
1.フォレット研究の現代的意義
2.思想史からみたフォレット理論の背景
3.『新しい国家』と『組織行動の原理』の連続性
4.フォレット理論 残された課題の若干の論点
5.社会経営学とフォレット経営学説
おわりに
第14章 レスリスバーガー理論と社会経営学 : 岡﨑昭彦
はじめに
1.E・メイヨーとホーソン実験
2.F・J・レスリスバーガーと人間的情況の論理
3.レスリスバーガー理論の社会的性格
おわりに
補論;人間的情況の論理の社会的性格 : 重本直利
第15章 バーナード理論と社会経営学 : 藤原隆信
はじめに――組織の経営から社会の経営へ
1.理論誕生の時代背景とバーナードの人物像
2.バーナード理論の概要
3.バーナード理論と社会経営学
おわりに――社会経営学の課題
第16章 サイモン管理論の社会的性格 : 重本直利
1.現代管理の社会的性格
2.能率基準と目的―手段の枠組
3.非合理的要素としての社会
4.目的志向性というパーソナリティーの獲得
5.「意味喪失」とサイモン管理論
第17章 シャイン・組織心理学から支援学への推移 : 眞島正臣
はじめに――社会関係資本は市民社会に何をもたらすか
1.シャイン学説へのアプローチ
2.動機づけ理論における複雑人仮説
3.キャリア・アンカーの組織内形成
4.内からと外からの組織改革=二つの理論
5.社会関係資本としての支援と社会経営論
おわりに――支援を核にした社会構想
第18章 ポーター理論の限界 : 杉村樹可
はじめに
1.ポーター理論
2.クラスター理論に見る社会的性格
3.ポーターのCSR論
4.ポーター理論の限界
おわりに
第19章 ドラッカー学説と社会合理性 : 三宅正伸
はじめに
1.ドラッカーの哲学的経営学説
2.経済人の敗北と産業社会の到来
3.経済合理性と拮抗する社会合理性
4.革命的社会変革と社会経営学理論の必要性
5.昨今のドラッカーブレークについての私見とまとめ
第Ⅳ部 課題別経営学説の社会性
第20章 ワークモチベーション理論における社会合理性 : 今井邦光
――ハーズバーグの動機づけ-衛生理論を中心に――
はじめに
1.ハーズバーグの「動機づけ-衛生理論」の展開
2.ワークモチベーション理論の展開
3.ワークモチベーション理論におけるハーズバーグの位置
4.ワークモチベーション理論の社会的性格
おわりに
第21章 アメリカ経営学における組織と管理の理論の展開 : 國島弘行
-社会と企業の経営学のための一考察として-
はじめに
1.アメリカ経営組織・管理論の三潮流
2.アメリカ経営組織・管理論における三潮流の歴史的展開
3.市民社会・企業・個人の研究
おわりに
第22章 個別資本説の限界と現代管理理論 : 中村共一
はじめに
1.近代主義としての個別資本説
2.「具体化」の限界
3.現代管理理論と価値自由
第23章 資本主義のガバナンスと民主主義と経営学 : 馬頭忠治
はじめに
1.ガバナンス問題とは何か
2.ガバナンス問題のゲネシス――ダニエル・ベルの国民社会論と世界的社会論
3.ガバナンスの古典派モデル――ニール・H・ジャコビの企業自由主義論
4.コーポレート・パワーと新自由主義
5.コーポレート・パワーと民主主義
おわりに
おわりに